⑩ 現状分析について

  •  現状分析

ビジネスの原点は「現状分析」である。戦略立案の最初の一歩は、現状の位置を確認することである。では、何が現状分析で、何をするべきか?

「現状分析のビジネスフレーム」を検索すると10~30ぐらい出てくる。そしてそのフレームを確認すると、「現状」というもののとらえ方がさまざまであることがわかる。3Cは間違えなく必要な現状分析である。何度も言うが、3Cはビジネスフレーム内でも最強の分析フレームであると思う。さて、4Pはどうか?これも現状分析か?PDCAというものも出てくる?これに関しては大きく時間軸が影響し、むしろ未来のことではないのか。SWOT分析は、(現状)に対して行うものなのか?(機会)がかかわるということは、未来のことではないのか??

  •  マーケティングの概念を考える際の時間軸。

マーケティングは「常に~Ing」の中にいる。自分が時間移動している中で時間軸の整理はものすごく難易度が高い。現状として分析している事実は実はすべて正確には「過去のことである」。現状分析の際にここにこだわりすぎないことも大切である。現状(今自分)がどう思っているか?の総称ぐらいにとらえていい。

  •  フレームの王様は3C

3Cを単純な市場分析としてとらえる(狭義)の3Cと、すべてのビジネスの要因を網羅できると考える3Cがあると考えていいのではないか。

まず、最初は広義で考える。

大前研一氏が開発したとされている。最小にして最大であり必要にして十分である。その他の分析もこの3Cのコンテンツであるともいえる。

何を使用するべきか、業態、状態、環境なの度によって異なる。しかし、大切なことは3Cの

・各領域の情報量は潤沢でないといけない。

・時系列の整理も必要。

・3Cの情報量に偏りがあってはいけない。

  • 現状分析におけるベーシックなセオリー

領域の広い分野から、3段階に狭めて搾り上げていくイメージの調査が必要と思われる。

全世界の動向>業界分析>市場分析  で考える。人によりPESTは未来志向の調査であるとしている人もいる。私は前出の通り時系列はあまり神経質にならならないことのほうが良い、と考える。PESTが社会現象、動向とすることができる。直接商売と関係ないかもしれないが世界の動向は思わぬところから影響を与えてくる。そして、万一影響がある場合、尋常でないレベルで影響がある。そしてさらに、この影響に対しては順応する以外は対処の方法がないということである。その次が5Forth。これは、業界分析である。この中にも登場する「競合」「顧客」はのちの3Cともダブル。なので、5Forthではそれ以外に重点的に考えたほうがいい。最後に3Cを行うので、売り手の交渉力、新規参入、

代替品などを重点的にここでは行うのがいい。

  • これら現状分析だけで、「イノベーション」は起こせるのか。

スティーブジョブスの言葉、

「顧客が望むモノを提供しろ」という人もいる。だが、私の考えは違う。顧客が今後、何を望むようになるのか、それを顧客本人よりも早くつかむのが我々の仕事だ。

このようなマーケティングリサーチ嫌いなCEOは確かに存在する。一方で80年代のIT以前のベンチャーたち。彼らは自分の思い付きと勢いで一代を築いたが、その後マーケティングの観点の不足により倒産、破産している。(本人たちの名誉のために付け加えると、個人力のものすごくすぐれた人たちなので、また復活している)。マーケティングの要不要論は論議としてあまりにも乱暴な議論である。ただ一方でCEOの意思はマーケティングに匹敵する要素であるという認識を持つことにとどめましょう。

さて、マーケティングの側面から、CEOの意思、発想を取り入れることはできないか?と考えてみてはどうか。PESTの中にまだ存在しないCEOの意思は、もはや地球の外に存在すると考えてみましょう。しいて言うのであれば、「コスモ」宇宙に存在する要素。宇宙の要素を調査できればどうであろうか。残念ながら、宇宙の居住者は存在していない。調査は不可能である。しかし、宇宙までいかないまでも、「SFの世界」には数限りない発想が存在している。そして事実、荒唐無稽ではなく、時代とともにそれらは実現していく。

つまり、調査対象をどこによりどころを求めるかということではないであろうか。ジョブズのいう通り、ターゲットに聞く調査だけでは、消費者の日常の発想を超えない。マーケティングの調査も進化が必要である。最初は消費者調査→それに加えPESTでテクノロジーもマーケティングの要素として加わった。更に、加えていきたいのが、クリエイティビティであり、エンターテイメントではないであろうか。IDEOのティムブラウン氏の発想がかなり近いと思う。彼は、デザイン、クリエイティビティをマーケティング、マネジメントに取り入れている。(そもそもこの会社はアップルのマウスのデザイン開発を行っている。)ジョブズ的な発想→クリエイティブ×テクノロジーが魅力的を具現化している。